古物商許可証・新品と中古の定義。転売するのに必要な許可、免許が必要か不要か、様々なケースについて。

豆知識

はじめに

 物価高の昨今では、フリマアプリやリサイクルショップで中古品を買ったり不用品を売る人が増えてると思います。当然フリマアプリで買ったものを使わなくなったら売るというケースもあり、その際により買った値段より高く売れることもあります。一見すると中古を買って中古を販売しているので古物商の許可が必要に見えますが、答えは必要になる場合もあり不要になる場合もあるというのが答えになります。
 この記事では古物商が必要なケースと不要なケース、新品と中古の定義についてあらゆるケースを想定して解説致します。

理解できなくても古物商許可を取れ!

長々とブログ記事を書いておいて本末転倒ですが、ここから下の文章を読む必要はありません。古物商許可証は難しい試験も無いし、安い申請料を払うだけで許可が下りますので、細かな法律やケース、ニュアンスを理解する必要は無く、新品・中古・仕入れたもの・自分で作った物など、どんな物でも定期的にある程度の個数を販売するのであれば古物商許可を取ってしまえば安心です。

「自分の場合は古物商許可が必要なのかな?」って悩むより、不要かもしれないけれど許可証を取ってしまえばそれだけで不安は無くなります。この長い記事も読む必要無くなります。

それでもなお記事を読んでくださる方はどうぞスクロールしてお読みください。

疑問や質問、もしくは記事内で間違った解釈がある場合などコメントしてくだされば幸いです。

古物(新品中古)の定義、日本語のニュアンスで混乱

自分が古物商について初めて調べたのは20年前くらいですが、その後もちょいちょい古物商について人に聞かれる事があります。インターネット上では古物商について様々なケースで回答している記事などがありますが、サイトによって解釈がまちまちだったり、中には都合の良い解釈でミスリードしているサイトもあり、初心者がイチから調べようとすると混乱するかと思います。

また、これは古物商に限った話ではないですが、教え方が上手い人と下手な人とで、同じ質問をしているのに別の回答をされるケースがあります。これは質問者か教え手の、はたまた双方が日本語力、読解力や説明力に乏しい事で起こります。

教えかたが下手な人は質問者の理解力を考慮せずただただ知識を披露するだけで大事なところを端折りがちです。質問者側も何が分からないかすら分からない状態で質問してくる場合もあるので、正答であっても中途半端な言い回しで誤解を与え、その結果お互いが間違った事を言ってなくても質問と回答にズレが生じてミスリードとなってしまうケースがあります。

よくあるミスリードが、①の質問が終わったから②の質問に入った際に、教え手は①と②の話を切り分けて話しているのに、質問側が①と②の話をごっちゃにして解釈してしまうというものです。

先日起きた古物商関連のミスリードを例に挙げます。
①古物商が必要なケースは?
 「古物商許可証は中古品を仕入れ・販売するのに必要」
②新品と中古の定義は?
 「一度でも使用目的で市場に出回った品は未使用でも中古品扱いになる」

①と②の回答は切り離された別々の質問と回答でしたが、質問者側には②のイメージが強く残ってしまった結果、使用目的で購入したものならその時点で中古扱いになるので、中古扱いの品を販売するには古物商許可が必要と解釈してしまいました。新品の品を仕入れて販売する場合は、販売時点で新品であろうが中古であろうが古物商の範疇ではないという認識が抜けてしまっていたのです。回答者側も聞かれた質問に順々に答えただけで、②の回答の時にわざわざ「古物商許可が必要なのは中古品を仕入れる時なので、自分で新品を仕入れて中古にしてしまった品を販売するにあたっては古物商許可は不要ですよ」と蛇足的な説明をする必要を感じてなかったのだと思います。

自分は超器用貧乏な性格と、何でも屋の経験から広く浅く知識が豊富なため、色々な相談や質問を受ける事があります。人に教える機会が多いため、ミスリードに対して人一倍慎重になっています。蛇足に蛇足を重ねて理解してもらうまで細かく説明しますが、大半の人は相手の理解度を軽視して淡々と聞かれた事をマニュアル的に答えているだけな人が多いので、こういった認識のずれが起きてしまいます。自分は教える事でお金を貰ってるわけじゃないけれど、それを仕事としている人であっても相手がちゃんと理解したかはあまり考えてません。けれど教え手も間違った回答はしてないし、相手の事を理解度を考慮しない教え手が悪いというわけでも無いです。蛇足も詰め込み過ぎると初心者は余計に混乱してしまいます。

日本語は結構難しい言語だと思います。質問側、回答側の双方の軽い勘違いでミスリードが起こってしまいます。初心者の質問の本質、何を聞きたいのか、現状でどういう解釈をしているのかを探りながら回答できない人は教え手に向いてないです。

古物商の話は質問者と回答者間でのズレが起きやすいジャンルだと感じています。今後初心者に質問された時に、まず概要を簡単に理解してもらってから疑問に答えた方がミスリードが減ると思ったので当ブログ記事を書くことにしました。

転売=古物商許可証が必須ではない

転売する時に古物商許可証が必要な場合は、古物を仕入れて古物として販売するケースのみです。新品を購入してそのままの状態で販売する場合や、新品を購入して中古として販売する場合は古物商の許可証は不要です。古物商許可証は、あくまで盗品等の追跡を目的とした許可証です。

古物の定義(新品中古品)未使用未開封=新品ではない

古物の新品中古品の定義は一般的な認識と少々異なっています。ここを理解してない方が多いので、古物商許可証が必要か不要かの論争が起きる要因となってます。

古物商での中古品の定義は一度でも使用目的で流通した品となります。つまり、未使用未開封の品であっても、人の手に渡った品は古物商の定義では中古品の扱いとなります。メーカーや正規代理店の小売業(ヨドバシカメラ)等に並んでる品のみが新品という扱いになり、そこから誰かの手に渡ったものは全て中古品となります。

仮に自分で使用する予定が無く転売目的で購入していた場合であっても古物の定義が「使用の為に取引されたもの」「自己が使用し、又は他人に使用させる目的で購入等されたもの」となってますので、転売が目的という事は、転売先の誰かに使用する事を想定されますので市場に出たと判断され古物扱いになります。

古物営業の定義

古物の定義では新品を買った瞬間に古物(中古)となってしまうという事は分かりましたか?次は古物営業の定義を説明します。これらがごっちゃになって混乱する人が多いイメージです。

新品は購入した瞬間古物になりますが、ソレを転売する場合は古物商許可が必要でしょうか?答えは否です。古物を売却する行為のみであれば古物商は必要ありません。

仮に私が後楽園でTSY商店を営んでたとします。
メーカーである任天堂から直接switch2を仕入れて店に並べた場合は新品扱いとなり、私は古物商許可証は不要で販売できます。そしてTSY商店からswitch2を購入した方も古物商許可なしで転売できます。それは私が使用目的でも転売目的でもなく、正規代理店、小売業として新品の商品を販売しているからです。

次のケースも私が後楽園でTSY商店を営んでたとします。
ただし、メーカーである任天堂から直接switch2を仕入れる訳ではなく、ヨドバシカメラで購入したswitch2を店に並べた場合は未開封の未使用品であっても中古品の扱いとなります。よく新古品と扱われているのがこのケースです。売ってる品は中古扱いですが、私は古物商許可は必要ありません。ただし、購入者がTSY商店から購入して転売しようとする場合は中古品を仕入れて販売する事になるので古物商許可が必要となります。

つまり簡単に説明するなら、正規代理店の新品を買って転売するなら古物商許可は不要、非正規やリサイクルショップやフリマアプリなどから新古品を買うなら古物商許可が必要となります。

古物の定義により自分が新品の状態をキープできているか中古扱いにしてしまうかは、自分の古物商許可の必要不要に影響はなく、あくまで自分から購入する転売ヤー側にだけ古物商許可の必要不要の明暗を分けることになります。

個人で使用していた不用品の転売は古物商許可は不要

中古品を買って中古品を転売する場合でも古物商許可証が不要なケースもあります。例えば中古の財布を買って暫く使ったのち、新しい財布を買ったのでそれをフリマアプリで販売したとします。その場合は古物商許可証は不要となります。

生業として中古を仕入れて転売しているか、使用目的で中古を仕入れて使わなくなったから転売するのかによって古物商の範疇か否かが変わってきます。あくまで不用品の処分の範疇であるなら古物商許可証は必要ありません。

古物商許可証が必要なケース

新品でない商品を販売目的で購入し、転売した場合は古物商許可証が必要。

  • 中古品を買って中古品販売を生業とする
     賛否無く古物商許可証が必要と理解できると思います。
  • ジャンク品を買って修理し販売を生業とする
     古物の定義では廃品は古物に当たらないとありますが、ジャンク品は廃品の定義から外れます。廃品の定義は役目を終えた無価値な商品であり、ジャンク品は本来の利用価値が損なわれた品では有るものの、パーツ取りとしての価値などがあり古物の範疇となります。ジャンク品=無価値で盗難の心配なしとはならない為で転売するのであれば古物商許可が必要です。一見廃品に見えても、見る人が見たら使い道がありジャンク品の範疇となる場合もあるので注意が必要です。
  • リファービッシュ品をメーカーから買って販売を生業とする
     初期不良などでメーカー戻しとなった物をリペアした商品であり、メーカーからの購入であれば盗品のリスクはゼロとなりますが、古物商の定義では一度市場に出たものは古物の範疇であるとなってますので古物商許可証が必要です。
  • 中古を買ってリメイクして販売
     リペア(修理)の転売でなく完全に作り変えるリメイクだとしても古物商許可は必要です。中古で仕入れた古着からバッグなど原型を留めない品に作り直して販売するとしても、素材となる中古品は出どころ不明な盗品の可能性があるため、古物商の範疇となります。
  • 在庫一掃系ECサイトからの仕入れ
     メーカー在庫処分品などを纏めて販売しているECショップは、メーカーが直接販売しているわけではなく、ECサイト側が代行して販売しているため市場に出た商品と判断されます。

古物商許可証が不要なケース

メーカーから直接新品を購入して転売する場合や、ヨドバシカメラや個人商店などメーカーから直接仕入れている正規代理店から購入した商品を転売する場合は古物商の許可証は不要になります。ただし、メーカーの正規代理店ではない店では新品と謡っていても、実際には未開封の中古品である可能性もある為、そのような店から仕入れた品を販売する場合は古物商許可証が必要となるケースがあるので注意が必要です。

  • 新品を買って販売を生業とする
     盗品の恐れが無いため古物商許可は不要です。
  • 新品を買って使って中古品として販売する
     古物商許可は中古販売に必要な許可ではなく、あくまで中古品を仕入れる時に必要な許可ですし、そもそも自分で使用したものを販売するにあたっては不用品処分の範疇ですので古物商許可は不要です。
  • 中古品を買って使って中古品として販売する
     自分で使う目的で買ったものを売る場合は、不用品の処分の範疇となる為古物商許可は不要です。しかしながら、ちょろっと使ったテイにして販売する事を何十何百回と繰り返せば生業として見られるため古物商の範疇になるかと思います。そこまでして古物商許可証を取らないメリットは無いと思いますけど……。
  • タダで貰ったものを販売する
     窃盗犯が盗品をタダで市場に流す事は考えづらいため、友人などから貰った品だけではなく、メーカー処分品などを無償で仕入れて転売する場合は古物商許可は不要です。

クレーンゲーム等プライズ品の解釈

UFOキャッチャーなどゲームセンターの景品は、ゲームセンターがメーカーから購入し、ゲームセンターがゲームの商品として使用したと解釈できる為、厳密にいえば既に市場に出回った商品という事で未使用品であるが中古品と解釈ができます。

しかしプレイヤー側は転売目的であろうが無かろうが、商品自体はクレーンゲームを遊んで手に入れた副産物、それをフリマアプリで売るとしても、ゲームで手に入れた不用品を売ってるだけと解釈できるため、転売にはあたらず不用品の処分の範疇、よって古物商の許可は必要ではないと解釈できます。

AmazonなどのECサイトからの購入

AmazonなどのECサイトから購入する場合、メーカーの正規ショップや正規代理店が出品している品であれば転売しても古物商許可は不要ですが、正規代理店ではないショップも新品をうたって出品しています。非正規ショップから購入して転売する場合は出どころ不明な商品なので古物商許可は必要です。Amazonで購入した商品を転売する場合は、古物の定義として新品・中古の見極め、正規代理店化非正規かを見分ける事が難しいため古物商許可なしで転売する場合はメーカー正規ショップのみから購入する事が無難です。ただ、ECショップから購入して転売しようとしても利益は出ないと思うので無駄な知識だと思います。

あとがき

最後まで読んでいただきありがとうございます。序盤でも申しましたが、とりあえず古物商許可証を取得しておけば何も懸念はありません。取らないと手間やデメリットがありますが、取ってデメリットが発生する事は多分ないと思います。デメリットあるよ!って方や当記事に記載してない様々なケースなどありましたらコメントして頂ければ幸いです。

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